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ご挨拶Message

研究代表者より

2012年に重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が日本において発生して以降、国内でエゾウイルス熱やオズウイルス感染症といった新しいダニ媒介性ウイルス感染症が発生しています。これらのダニ媒介性ウイルス感染症は、全身性の重篤な症状を伴う疾患が多いことから、これらの疾患と原因となるウイルスに対する予防・診断・治療を含む包括的な研究と対策と整備・推進は、新興感染症対策において重要な課題です。

我々は、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)の新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業として「新興ダニ媒介性ウイルス重症熱に対する総合的な対策スキームの構築」の研究を実施しています。本研究班では、新興ダニ媒介性ウイルス感染症に対して、診断、治療、予防及びリスク評価を含めた総合的な対策スキームの構築をすることにより、これらのウイルス感染症による健康被害の軽減を目指すことを目的としています。本研究では、世界で初のオズウイルス感染による致死症例の同定にも貢献しています。

一方、SFTSウイルス、エゾウイルス、オズウイルス以外にも、ヒトに病原性を持つダニ媒介性ウイルスに近縁のウイルスが日本国内のマダニから数多く分離・同定されています。国内においてマダニ刺咬後の不明熱疾患の中にはSFTSウイルスやリケッチアの感染が否定される症例が多く含まれることから、これらの新規ダニ由来ウイルスが不明熱の原因であるかを特定することは、公衆衛生学的、さらには将来の新興ダニ媒介性感染症の発生に備える観点から喫緊の課題です。

このような背景から、本研究班では、希少疾患であるマダニ媒介感染症や、未知のマダニ媒介感染症の症例を探索・同定を目的としたマダニ刺咬後の発熱疾患レジストリの構築を行っております。マダニ刺咬後の不明熱症例は決して多くないため、全国から症例を集める必要があり、そのために本HPを作成し症例登録を広く呼びかけたいと考えています。国内における既知・未知のマダニ媒介感染症による健康被害のリスクを把握・評価するために、皆様のご協力を賜れますと幸いです。よろしくお願い申し上げます。

研究代表者 国立感染症研究所ウイルス第一部
部長 海老原 秀喜

分担研究者より

近年、エゾウイルス感染症やオズウイルス感染症など、これまでに知られていなかったマダニによる感染症が明らかになってきました。日本国内には、まだ他にもこれまでに診断されていないマダニ媒介感染症の患者さんがいるかもしれません。AMED海老原班の分担研究である本研究は、日本国内のマダニ媒介感染症が疑われるものの、診断がついていない症例の情報や臨床検体を集積し、未知の病原体を含めた病原体を網羅的に調べるためのものです。 マダニ媒介感染症が疑われるものの、診断がついていない症例がございましたらぜひ問い合わせフォームからお問い合わせください。

分担研究者 大阪大学大学院医学研究科感染制御学
教授 忽那 賢志